【政府が隠す】新型コロナ緊急事態宣言の効果検証
2021年2月2日に新型コロナウイルス感染症対策本部は現在発令中の緊急事態宣言について、栃木県を解除して10都府県を1か月間延長する決定をしました。
理由は医療機関のひっ迫であるとしていますが、緊急事態宣言そのものの効果検証は明らかにしていません。
発令当時、菅義偉総理大臣は「年末年始からの感染者数が極めて高く、全国的にさらに厳しい状況となっており、強い危機感を持っている」と説明しています。
新規感染者数から、医療機関ひっ迫にスライドした訳です。
厚生労働省のオープンデータから検証する
緊急事態宣言発令都府県とそれ以外のグラフを比較すると、グラフの形状はほぼ同じと言ってよいでしょう。
これは緊急事態宣言を「してもしなくても同じ」であることを意味しています。
つまり冷静に数値だけを見れば、緊急事態宣言の効果は無かったことがわかります(ちなみにデータの解説ですので、私的な意見ではありません)。
次に実数を追ってみましょう。
なるほど発令日である2021年1月8日を頂点として、下降曲線となっています。
しかしながら、PCR検査の結果が計上されるのは約14日間のラグがあります。最近はそれも早まり10日間前後となっていますが、年末年始を挟んでいますから、14日間と仮定します。
すると様相が一変します。クリスマスを頂点として、既にピークアウトしていたことがわかります。
緊急事態宣言延長に効果はない
実は、わかりきっていることです。「高福祉国家スウェーデンの本当の失敗」で記した通り、2020年3月-6月のデータから世界で行われた「ロックダウン」は効果が無かったことが実証されています。
すると反論が出てきます。医療機関がひっ迫しているからだ、と。
それならば、なぜ、世界一の医療機関が持つ日本でひっ迫するのでしょうか。「【鼎の軽重を問う】特措法・感染症法改定法案審議」でも指摘した通り、要請に従わない医療機関を統制する法律を作らないからです。
個人や飲食店などの事業者に行政罰の法律を作ったクセに、です。
すると今度は理論循環気味に「世界の感染者」を持ち出します。
日本ではどう少なく見積もっても1/10です。対応策は自ずと異なります。
自然増減数に異常アリ
それよりも気になるデータがあります。2021年1月19日付 厚労省「人口動態統計速報(2020年11月分)」の自然増減数です。
出生数から死亡者を減算した値のことで、通常であれば前年比で「ほぼ平行な」グラフになります。
それが今年は横ばいなのです。
出生数の傾向に変化はありません(余談ですが停電になると出生率が上がるという神話がありますが、今回は適用しなかったようです)。
問題は死亡数です。それが「減少」しているのです。
3万人-4.6万人の減少が意味するもの
高齢者数は二次曲線で増加しているので、人口動態的には死亡数は増加します。
2020年1月-11月前年差: △1万5322人
2019年1月-11月前年差: 1万5964人
2018年1月-11月前年差: 2万3864人
2017年1月-11月前年差: 3万1212人
2016年1月-11月前年差: 1万1394人
2020年の死亡数は、例年と比較して3万人-4.6万人少ないのです。
これは昨シーズンのインフルエンザ(超過死亡含めて)の減少だけでは説明がつきません。
基礎疾患による死亡や交通事故が微減しています。それが積み上がったものなのか、実態は不明です。
指定感染病院で、天寿を全うできない不幸がないことを祈るばかりです(「beforeコロナ - なぜ、医療崩壊していなかったか?」参照)。
afterコロナのダメージは高齢者介護を直撃する
新型コロナウイルスの対策がトリガーになっていることは、疑いようが無いでしょう。
いずれにせよ「不自然」ですから、必ず揺り戻しが起きます。
そのとき、介護現場で最大3倍程度の負荷がかかることが予想されます。
さらに今年は介護報酬改定も控えています。通例であれば4月に施行され、猶予期間後の8月に実行されます。
その負荷に社会は耐えられるのか。厳しいと言わざるを得ません。
『介護評論』