高福祉国家スウェーデンの本当の失敗

高齢者福祉の手本として扱われてきた

スウェーデンといえば高負担高福祉。子の親に対する扶養義務が廃止され、共同体で最期まで介護されるこうした国家像の方が多いのではないでしょうか。

独自色が強いからこそ、諸外国から羨望あるいは嫉妬による批判の対象になってきました。



新型コロナの政策が失敗したと連呼する諸外国メディア

なにしろ売春合法・買春違法を世界に先駆けて打ち出した国が、新型コロナウイルスには「ノーガード戦法」をすると言うのだから注目を集めない訳がありません。

そこで諸外国のメディアが報じたのは「ロックダウンしないのは失敗だった」。次に「国王が失敗を認めた」。最近は「死者が1万人を超えた」というのです。



ロックダウンは効果が無かった

ジョンズ・ホプキンス大学の最新データを見てみましょう。

スウェーデン周辺国などの「人口100万人あたりの死者数」の20203月から6月に着目してください。イギリスと比較してもグラフの形状に変わりがありません。


つまり、ロックダウンをしてもしなくても結果は同じだったということがわかります。



“死者が1万人を超えた”の切り取りニュース

同出典の直近数グラフを見てみると「失敗」と言うほど飛び抜けていないことがわかります。

スウェーデン国王の発言は国民に対して同情の意を表明したのであって、失敗を認める内容ではありませんでした。

(余談ですが日本では騒ぎすぎだと主張するのは、このデータが論拠のひとつです)



貧富の差と移民問題

PCR検査キットを依頼した人の居住地別割合を見てみると以下のようになります。

・セーデルマルム:5.4%

・ソルナ:4.4%

・リンケビー:1.5%

このように貧富の差が浮き彫りになっています。

リンケビーのような移民の町は貧困層が多く、雇用形態も安定していません。非正規雇用で休業補償もなく時間給であり、もしPCR検査で陽性になると「そのままクビ」の現実があるのです。


そして介護施設で働いている多くは、熱があっても休めない貧困層イコール移民です。



日本はどうするのか?

これにより、スウェーデン公衆衛生庁の国民支持が下がっています。以前から燻っていた移民問題に直結したのです。


さて、我が国に転じてみると外国人介護労働者がいます。導入の理由を整理してみました。

2025年時点で介護士の担い手が38万人不足

・介護離職が増加すれば生産年齢人口が減る


2次ベビーブームの人口が減少に転じる2050年頃まで、介護需要は上がり続けます。

一定の就労期間が設けられていますが、果たして維持していけるのでしょうか。


導入時の議論は、詰まるところ「金の話」だけだったのです。


将来を見据えた倫理、哲学、宗教など文化面の検討を十分にしていないのです。


今回浮き彫りになったスウェーデンの問題は、改めて日本で議論する契機です。

このままでは、我々の子孫に対して大きな禍根を残すでしょう。


『介護評論』

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