【レクおすすめ】マンダラぬり絵の活用方法
介護施設や自宅でのレクリエーション・アクティビティにおすすめの「マンダラぬり絵(カラーリング・マンダラ)」を紹介します。
(本記事は利害関係や、宗教・自己啓発の勧誘など一切ありません)
マンダラぬり絵とは
瞑想がマインドフルネス、ヨーガがホットヨガのように、マンダラから宗教色を排したものがマンダラぬり絵です。
西洋において当初からマンダラに着目したのが、精神科医・心理学者のユングです。精神患者と自身の精神失調から見出したのがマンダラ的な図形でした。ユングは東洋哲学に傾倒し、そしてかの有名な「集合的無意識」の着想を得ることになります。
現代の絵画療法に繋がっていきますが、マンダラぬり絵が容易な点は、予め下敷きになる線が引いてあることです。
マンダラぬり絵をやってみた
用意する物とルールはシンプルです。
・マンダラぬり絵の元絵を用意
・色鉛筆12色を用意
・自由に想いの向くまま塗る
これだけ。
色鉛筆は最低5色でOK。どこから塗り始めても、何色をどれだけ使っても、いつ止めても自由です。
やってみます。
10分ぐらいやっていると夢中になっている。所用で呼ばれると「まだやっていたいのに」と、その楽しさに何となく気づく。
急いで片付けて戻る。それから20分ほと経つと、無心になりリラックスしてくる。なるほど、これが本来の「三昧」というものか、などと邪念が入る。まったく凡夫はこれだからイカン、と思いつつ続ける。
完成。思っていた以上に美しい。自分で言うのもなんだか。誰かに見せたい欲求もある。そこで、知人を捕まえて見せても「ふーん」という態度。
しかし、完成した絵は個性を表す作品になっているとの論評。今の状態や内心を割と言い当てられたことに驚く。
あとは、書いた人と書いていない人では、圧倒的な温度差があることに気がつく。
ポイントまとめ
point1 : リラックス・癒し効果あり
やってみると、マインドフルネスのように脳内における「デェフォルト・モード・ネットワーク」の活性化を促す効果があることがわかります。脳がスッキリとします。
ルールが「自由」なので、想定していた以上の解放感がありました。普通のぬり絵は下敷きになる絵に意味があるので、ここまでの解放感はありません。
point2 : 少人数でやること
心の内側を映し出すので、会話のキッカケになりやすい。少人数のグループに分かれると会話が弾みます。また、出来上がった作品は言わば非言語コミュニケーションツールです。失語症や認知症、がんの方にも有効です。
介護施設での活用方法
レクリエーションやアクティビティで少人数のグループに分かれ、できればスタッフも一緒に行いましょう。
「チィチィパッパは嫌だ」という声をよく耳にします。マンダラぬり絵ならば、出来上がりも「作品」として抵抗感がありません。
また、入居者の心の内側が見えると同時に、ケアスタッフの調子もわかります。ストレスや人間関係での退職が多い職場です。作品に違和感や変化を感じたら、リーダーがフォローに入ることができます。
離職防止や職場環境改善のキッカケとなるツールとしても役立ちます。
自宅での活用方法
同居していれば、対象者本人と主介護者が一緒に行いましょう。大切なのは作品の変化です。お互いの内心を語り合う道具にもなります。
独居の方であれば、訪れる家族やケアマネジャーに溜まった作品を見せるとよいでしょう。「何となくわかる」という特性から、精神分析など知らない素人でも現状の心理をある程度見て取れます。
集団行動から個別行動の世代へ
現在の要介護者は戦争中か、それよりも前の世代です。集団行動が得意な世代なので、介護施設でも全員参加型のイベント多めです。
しかし戦後生まれはそうした価値観が否定され、個人主張を大切にする教育に大転換した世代です。
介護施設はそもそも集団になる所ですから、そこで個人の活動を支援するのは構造的に矛盾があります。
今回の裏テーマは、その世代にどうシフトして対応するのかでした。「マンダラぬり絵」が、それを考えるキッカケになることを期待しています。
『介護評論』