【誰も語らない】自宅介護で最重要。ケアマネジャーの選び方を教えます

どのケアマネジャーを選べばよいのかわからない

「入院後、介護が必要になった」

「認知症が進んできた」


役所や地域包括支援センターで介護認定の申請をした後、多くはケアマネジャーが在籍する事業所の小冊子やリストをもらいます。


そこでどこにするべきかの選択を迫られます。


どこも同じだろうと、近所のケアマネジャーを選ぶ方が殆どでしょう。


あるいは退院調整で医療ソーシャルワーカーから何気なくすすめられることもあります。


安易に決めてしまう人が多いのですが、実はケアマネジャー選びは自宅介護で最も重要といっても過言ではありません。



今回は、利害関係があって誰も言えなかったケアマネジャー選びの秘訣をお伝えします。


その前に初めての方へ向けて、基本的なことを整理しておきます。



そもそもケアマネジャーって何?

介護支援相談員の有資格者のことで、介護の計画を策定する専門職です。オーケストラでいえば指揮者、建物でいえば建築士にあたります。介護の設計士です。

多くは居宅介護支援事業所に在籍しています。



よく見かける訪問介護と何が違うの?

訪問介護・訪問看護ステーションは建物で例えるならば大工さんにあたります。その棟梁がサービス提供責任者になります。


前述の居宅介護支援事務所と併設になっていることが多いので、初めての方にはややこしく見えるのではないでしょうか。



介護サービス開始までの流れを整理

1. 市区町村の役所などで介護認定の申請


2. 居宅介護支援事務所でケアマネジャーの仮決め


3. ケアマネジャーから介護計画書(ケアプラン)の提示


4. ケアマネジャーとの契約とケアプランの合意


5. ケアプランにある介護サービス(訪問介護やデイサービスなど)の決定と契約


6.介護サービス開始



なぜケアマネジャー選びが最重要なのか

健康寿命と平均寿命の差は約10年。この間はなんらかの形で支援を受けなくては日常生活が送れません。この中には介護期間も含まれ、平均は47か月になります。

この長い期間を主介護者と伴走してくれる存在がケアマネジャーなのです。


時には介護に疲れ果てることもあります。認知症が進行すれば、暴言を受けることもあるでしょう。家族・親族の無理解もあるかもしれません。そんなときに「孤独にならないための存在」が不可欠なのです。



現場のリアル「ケアマネ格差」

今まで実際にたくさんの地域で、数多くのケアマネジャーと一緒に仕事をしてきました。そこで言えることは、個人スキルには差があるということです。


多くの素晴らしいケアマネジャーとも出会ってきました。常に最新情報を持ち、ネットワークが広くて上手に組み立てることができる人。また、そうではなくとも親身になって奔走する優秀な人がいます。


共通しているのは、コミュニケーション能力が高いということ。そして、利用者や家族から絶大な信用を得ています。


逆に言えば最新情報を持っていても、利用者とその家族に見えない線があると感じる人。地域の「お局様」で偏向した考えを持つ人。意欲が感じられない人。断定的に強い言葉を使う人もいます。


そうした場合のケアプランを見ると、クエスチョンがつくことが少なからずありました。



2021年度介護報酬改定で逓減性が緩和

2000年の介護保険開始から 1人あたりのケアマネジャーが担当できる人数は減り続けてきました(規定値を超えると減算される仕組み)


質の担保を名目とした改定でしたが、これが居宅介護支援事業所の経営圧迫を招きます。その反省から、2021年度の改定では一定条件で緩和される見通しです。


一定条件とはICTなどの導入よる事務効率向上とされていますが、それ自体が業務量を増やすという批判もあります。


もちろん使いこなす人もいるでしょうが、全体的な質を下げる方向性であることに違いはありません。



相性が合うケアマネジャーに出会う方法

ケアマネジャーの良し悪しに公的な基準はありません。


ですから『介護評論』では、相性が合うかどうかで決める方法を提唱しています。



 step1

まずは介護の拠点から30分圏内で3軒の居宅介護支援事業所を選びます。病院などでおすすめがあれば、これに含めておきます。


 step2

担当予定のケアマネジャーにそれぞれ面談し「グチを聞いてくれると感じるか」を確認してください。そのなかで、一番相性が合う人を選んでください。


 step3

契約して1か月後、どうしても相性が合わなかったり、サービスの不満が解消されないようでしたら「解約」して別候補のケアマネジャーと「再契約」しましょう。


長い介護の伴走者を選ぶときには「グチを聞いてくれる」「いつでも解約変更できる」の2点を心構えとしていることが大切です。



「モンスター家族」にはならないで

一方で、ケアマネジャーにも悩みはあります。厚生労働省「2015年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査」を参考にしてみましょう。

▶︎居宅介護支援所の業務遂行に関する悩み

(複数回答

1. 68.0% 記録する書式が多い

2. 47.4% 困難ケースへの対応

3. 45.4% 制度が頻回に変わる対応

4. 26.2% 業務範囲が明確でない

5. 23.5% 利用者への制度変更の説明


特に独居高齢者のケアマネジメントで主介護が事実上不在のとき、どうしても「グレーゾーン」が出てきます。


放置してもよい。ですが、ケアマネジャーがやむに止まれずフォローに入るシーンを何度も見ています。


また、居宅介護支援事業所の管理者ともなると、「営業まわり」も仕事になってくることがあります。


現場ではこうした苦悩を抱えて業務にあたっています。


1割の困難ケースが、仕事全体の9割」と話してくれたケアマネジャーも。こうして地域を駆けずりまわるなか、「モンスター家族」の担当になると最悪です。


無論、権利主張は大切です。ですが行き過ぎれば、それはケアマネジャーのパフォーマンスを落としてしまいます。それはケアプランとして跳ね返ります。


孤独になりそうになったとき「グチ」を聞いてもらうためにも、関係性は良好にしておきましょう。

ケアマネジャーにとって「グチ」は、ケアプランを練るうえでの材料になることもあるのです。


『介護評論』

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