【本当のところどうなの?】新型コロナワクチン
新型コロナウイルスでワクチンの議論が盛んに行われています。売り手側は安全性を強調するし、ワクチン否定派は専ら言葉のイメージで危険性を主張します。
そもそも「副反応」「遺伝子ワクチン」とは何でしょう?
今回はこれらをわかりやすく整理して、接種の判断にしていただきたいと思います。
副反応とは何か
薬の有害な影響を副作用と言い、ワクチンに限定したものを副反応と呼んでいます。代表的な悪影響にアレルギー反応があります。これには幾つかの型があり、いずれも免疫反応のことです。
- Ⅰ型アレルギー
肥満細胞(マスト細胞)のIgE抗体に「抗原」が結合することによりヒスタミンを放出。これにより血管拡張性低血圧を起こすことがあり、このような激しい反応をアナフィラキシーショックと言います。
- Ⅱ型アレルギー
IgG抗体に「抗原」が結合して活性化された補体が作用して細胞を融解。溶血性(赤血球が壊れる)貧血などを起こすことがあります。
- Ⅲ型アレルギー
IgG抗体に「抗原」と補体が結合した免疫複合体が血液の流れに乗り、血管や周囲の細胞を傷害することがあります。分子が大きいので根詰まりを起こすイメージです。全身性エリテマトーデス(臓器の様々な障害)を起こすことがあります。
- Ⅳ型アレルギー
抗体を持った細胞にTリンパ球が反応して傷害することがあります。免疫機能が異物と誤認して細胞を破壊してしまうことです。
ワクチンの整理
公衆衛生的には一定程度で必ず副反応があり、それは認められています。リスク(薬害)・ベネフィット(効果)で算出されるべきものです。社会全体でどれだけの益があり、どれだけの害を許容できるのか、という考え方です。
今回の新型コロナウイルスワクチンは、従来のものとは決定的に違います。整理してみましょう。
- 生ワクチン
病原体の毒性をぎりぎりまで弱めたウイルスや細菌を原材料として作ります。
- 不活化ワクチン
毒性を完全に無くして、免疫を作るのに必要な成分を取り出したものです。生ワクチンと比べて1回の接種では十分な免疫ができないので、複数回の接種が必要です。季節性インフルエンザワクチンはこのタイプです。
- 遺伝子(mRNA)ワクチン
遺伝子ワクチンにもタイプがありますが、日本では調達の兼ね合いから米ファイザー社と契約しました。mRNAワクチンという特殊なタイプです。
新型コロナウイルスの遺伝子からスパイク部分(細胞に感染するための手のようなもの)の設計図である遺伝情報を切り出して注射します。それが体内の細胞で増幅されると、それに免疫系が反応して抗体ができる仕組みです。今のところ2回接種が推奨されています。
注射にも種類がある
簡単に言えば皮内注射、皮下注射、筋肉注射、静脈注射の順に「ワクチンのばら撒き方」が早くなります。
インフルエンザの接種といえば一般的に皮下注射ですが、世界的には筋肉注射が主流です。これは過去日本で筋肉注射よる副反応の事故が多発した経緯があるためです。
治験が少ないですから、国内でも「マニュアル通り」で筋肉注射の2回接種になるかもしれません。
冷静な判断は数字しかない
厚生労働省の発表では、国内におけるインフルエンザワクチンの副反応のうち死亡は「接種100万回あたり約5.7回」です。
現米疾病対策センターによると、現時点でインフルエンザワクチンよりも10倍の副反応率となっています。新型コロナウイルスワクチン調達予定数は1億4400万回分。
すべて実施したとして単純計算で8220回の死亡です。
国内における2020年1月20日現在の死亡数。
・80歳以上 2655人 構成比61.34%
・70代 1053人 24.32%
・60代 362人 8.36%
・50代 123人 2.84%
・40代 39人 0.90%
・30代 11人 0.25%
・20代 2人 0.04%
・19歳以下 0人 0.00%
・不明 83人 1.91%
・合計 4328人
合計人数を倍にすれば、ワクチン副反応死亡回数とほぼ同じになります。
わからないことは、わからないままにしておく勇気
今回のワクチンは筋肉注射で血流に乗り、素早く全身を巡ります。即ちどこで細胞分裂による増幅が始まるのか、まるでわかりません。
さらにmRNAワクチンは「抗原」を作り出します。1回目の接種で多量の抗原が作られて、2回目に危険なアレルギー反応(前述参照)を起こすと指摘する医師もいます。また、本番の新型コロナウイルスに罹患したときに過剰反応する可能性も考えられます。
製造元はワクチンのmRNAはすぐに分解されて影響はないとしています。そうだとして、人体のゲノムなどにどのような影響があるのか長期的な臨床試験をしている訳ではありません。
要するに「それだけわからないワクチン」であるとの認識は必須です。
高齢者は一か八かの賭けに出るべきか?
死亡全体の6割が80歳以上です。平均寿命から検討するとリスク・ベネフィットに見合うのでしょうか?
2021年1月17日付 ブルームバーグ通信「新型コロナワクチン接種後の死亡者が増加-ノルウェーの高齢者」によれば、死亡例はすべて重篤な基礎疾患のある高齢者と報じています。
すかさずファイザー社は「今までに発生した死亡者数は驚くほど多くはなく、予想と一致する水準だ」とコメントしています。売り手とすれば当然そうした反応になるでしょう。
いずれにせよ、1回目の接種でこの状況です。問題の2回目を待たなくてはなりません。
接種の優先順位は妥当なのか
厚生労働省は以下の通りです。
1.医療従事者等
2.65歳以上の高齢者
3.65歳未満で基礎疾患がある人
3'.高齢者施設従事者等
4.それ以外の人
厳しい言い方ですが、医師の年収中央値は1700万円で上流階級です。こうした混乱期に命をかけてもらうために高収入が社会的容認されていると解釈できます。
看護師(准看護師含む)の年収中央値は391万円。全体年収中央値の370万円と比較して少しだけ高い。看護師の社会的存在意義も含めて接種するべきか微妙なところでしょう。
問題は年収中央値が310万の介護士です。死亡構成比1%以下の40歳未満の介護士に「死ぬかもしれないが接種しろ」と社会は言ってもよいのでしょうか。60歳未満にしたところで4%程度です。
次に高齢者です。前述のブルームバーグ通信の報道によれば、基礎疾患のある高齢者の接種に警鐘を鳴らしています。そもそも高齢者は何らかの基礎疾患を持っているものです。
するとどうでしょう。日本においては接種するべき人は「医療従事者等」だけとなりました。
同調圧力は監視社会の第一歩
最後に重要なことを記しておきます。厚生労働省の文章をそのまま掲載します。
「強制ではありません。新型コロナウイルス感染症のワクチンの接種は、しっかり情報提供を行ったうえで、接種を受ける方の同意がある場合に限り接種を行うことになります。予防接種を受ける方には、予防接種による感染症予防の効果と副反応のリスクの双方について理解した上で、自らの意志で接種を受けていただいています。受ける方の同意なく、接種が行われることはありません」
「意思」ではなく「意志」としたところに、厚生労働省のプライドと良心を見ました。
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『介護評論』