親の説得5つのケース ー 老人ホームへの入居9つの言葉

老人ホームに入居するとき、一番困るのが対象者()への説明です。今回は子の立場からケース別に導き術をお伝えします。


ケース 1:親が独り暮らし

今まで独り暮らしをしてきた自尊心からホームへの入居を拒否する場合が多いです。特に男性の場合は言葉を間違うと頑なになってしまうことも。

遠距離の場合は交通費・時間的な拘束が莫大になってしまいます。主介護者()の生活が破綻してしまうこともあります。


point 1-1:かかりつけ医やケアマネジャーなど、親が信頼している人に同席してもらい方便を使う

「来月から私が検査入院することになった。皆で相談したのだけれど、その間だけでもホテルのような施設に入っていてもらえないかな?」


point 1-2:私の負担軽減をお願いする

「私も歳をとった。ここまで来るのがしんどい。近くに来てもらえればいつでも会えるし、孫にも会えるよ。親孝行させてほしい」


point 1-3:感染症の流行を理由にする

「最近インフルエンザも流行ってきたし心配。移動するのに近所の目もあるし。看護師がいつもいるところに入れば安心だよ」



ケース 2:両親が老老介護で二人暮らし。男親が対象の場合

この場合も男親の自尊心を傷つけてしまい、親子の関係に亀裂が生じることが多い。その後、両親間のDVを助長させることもあります。

point 2-1:先に女親からアプローチする

「これ以上の介護するとお母さんが倒れてしまう。お父さんに老人ホームに入ってもらえば、私も会いに行きやすくなるよ。お母さんだっていつでも会いに行けるよ」


point 2-2:その上で男親が信頼している人に同席してもらい方便を使う

「お母さんが検査入院することになった。その間お父さんをお世話する人がいなくなる。お母さんが安心するから施設に入っていてほしい」



ケース 3:両親が老老介護で二人暮らし。女親が対象の場合

男親ができもしない介護をできると言い張り、事実上のネグレクト状態になっていることが多いです。

point 3:老人ホームの担当者などに同席してもらい方便を使う

「お母さんには検査とリハビリが必要になった。お母さんも心配だけど一緒にお父さんまで倒れたらどうしよう。お母さんには一旦、施設に入ってもらおう」



ケース 4:両親が老老介護で二人暮らし。両親が対象の場合

通う主介護者の負担が最大。心身ともに疲弊し切っています。


point 4-1:先に女親からアプローチして同意を得る

「お母さんも大変でしょう?お父さんが寂しがるから、お母さんも一緒に施設に入ってほしい」


point 4-2:その上で男親に同意を得る

「お母さんが老人ホームに入るから、お父さんも付き添ってあげてくれるとお母さんも安心する。私も安心できるから入ってくれないかな」



ケース 5:親と同居(両親の場合も同様)

子や社会に捨てられるという感覚が強いのでダイレクトに話すと拗れることが多いです。

主介護者の配偶者が仕事で日中外出している場合は、主介護者が心の病まで追い込まれることも稀ではありません。

point 5方便を使う

「私が今度検査入院することになった。お世話する人がいなくなる。一旦、ホテルのような施設で休んでいてほしい」


まとめ

方便を使うことに躊躇いを感じる方も多いでしょう。しかしながら、その後の関係を良好に保つのも親孝行ではないでしょうか。


対象者の性格や環境を考慮しながら、ベターな言葉を探ってみてください。


また、主介護者が女性の場合は嫁いでいることも多く、そちらの家族も守らなければなりません。

最悪なのは明らかに自宅介護が限界なのに「本人に任せる」という態度です。重大な事故になることも少なくありません。


方便を使うときには、必ず老人ホームに相談してその旨を伝えてください。可能な限り合わせてくれるはずです。


そして一番大切なことは、対象者本人も含めて全員が幸せになる選択をすることです。


『介護評論』

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