老人ホーム選びの落とし穴【重要事項説明書】編

老人ホームの検索サイトや紹介斡旋会社の指南書などで「資料請求や見学来訪のときに『重要事項説明書』を入手しましょう」というフレーズをよく見かけます。

しかしながら、これが落し穴になるのです。


重要事項説明書とは、行政からの命令で運営会社が消費者に必ず提示しなければならない書面です。ですが老人ホームなどの介護施設においては、その内容が非常にわかりづらくなっています。


さらに、行政区が異なる場合は書式自体が異なるときがあります。また、所轄省庁が異なったり施設の種類が異なるときには、まったく書式が異なります。

専門家であればともかく、初めて老人ホームを探す方にとっては解読や比較検討をするのは困難を極めるでしょう。


ひとまず、縦割り行政と行政書式の問題は別の機会に譲ることにします。


初めて探すの方の「重要事項説明書」で一番マズイのは、入手したこと自体で「調べた気になってしまう」こと。

また、表面上の数値だけで「わかった気になってしまう」ということもあります。

これが老人ホーム選びの落とし穴なのです。


誰も伝えなかった重要事項説明書の活用術

専門家でなければ解読できなくなってしまった重要事項説明書。それでも活用する方法があります。この2つのポイントで老人ホームの実力を推測できます。


point1 見学のとき、重要事項説明書をもらえるか?

老人ホームに見学したときに、もらえるのか聞いてみてください。すんなりと出てきた老人ホームは「良い」と判断できます。


運営会社の公明正大に情報開示をする姿勢がうかがえます。入居後、何か不都合なことがあっても隠さないことが期待できる、これは親を預ける側とすれば重大なことです。

発熱した、転んだ、食欲がないなど老人ホームでの暮らしはトラブルと不安の連続です。日常とはそういうものです。目に見えない部分を信頼できるか。対象者本人や家族にとって最重要事項でしょう。


point2 表紙の右上に注目‼︎

重要事項説明書には必ず「記載日」があります。この日付が「2か月前より古くなっていないかを確認」してください。最新状態になっていれば「良い」と判断できます。

管理者であるホーム長が正しく運用しているのか。全ての組織はリーダーで決まります。老人ホームも例外ではありません。こうした些細なことから、現場での毎日の身体介護サービスの質が見えてくるのです。



内容については専門家に相談

残念ながら、重要事項説明書の独自解読は、ほぼ無理でしょう。それほどにわかりづらい書式です。内容から推測するのであれば、専門家に相談するのがベターでしょう。


さらに、重要事項説明書を利用者に対して詳細に解説する専門家も怪しいと言わざるを得ません。


難読な本や解説よりも、わかりやすい言葉を使う専門家をあたってください。


『介護評論』

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