忍び寄る地域包括ケアシステムの崩壊

閉院検討3割超の衝撃

2020年12月25日付 神戸新聞「開業医3割が『閉院』検討 コロナで減収影響か」によると、兵庫県内の開業医のうち、31%が新型コロナウイルスの影響による減収により閉業を検討していることがわかりました。


兵庫県の人口1,000人当たりの診療所数は約1.07で全国38位です。全国平均は約1.23となっています。


カゼをひいたら保健所へ?

現状を整理すると、新型コロナウイルスは指定感染症の2類相当となり、発熱などがあった場合にはまず最寄りの保健所に相談することになりました。そこで指定感染症病院や隔離施設(指定感染症ルート)などに選別されています。

かかりつけ医の役割(地域ルート)が突然消えたのです。

また「町医者は高齢者のサロン」などと揶揄される状態が「改善」され、ますます経営を圧迫しています。

確かに地域の診療所は現状に胡座をかいていたことは否めません。昔ながらの往診をやめてしまったり、今回の新型コロナウイルスで指定感染症病院へ応援に行かなかったりと、ツケが回ったのでしょう。


兵庫県だけの問題か

しかしながら3割の閉業検討とは驚くべき数字です。地域医療と地域包括ケアシステムの基盤であるかかりつけ医制度が足元から崩れようとしています。

長年家族を診てきた診療所が消えるのは、市場原理主義だけで片づけられるとは到底思えません。


5類への引き下げを急げ‼︎

2類感染症といえば「結核クラス」です。国内における新型コロナウイルスが現時点で当該クラスである合理性はありません。いち早く5類への引け下げを求めたい。地域包括ケアシステム=在宅介護を守るためにも必要ではないでしょうか。

これに対して、開業医最大の団体である日本医師会は沈黙したままです。


『介護評論』

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