【高い?安い?】老人ホーム月額費用の真実 ≪ シリーズ① ≫

特別養護老人ホームに入れず、民間の老人ホームを選択する人が増えています。どこも高額で「相場」がわからないという相談を多くいただきます。

そこで、今回は介護付き有料老人ホームに絞り、月々にかかる費用について詳しく解説していきます。


「月額」が図解で丸わかり

ここではわかりやすく、端数を切って「月額18万円」を例に解説します。

(:月額18万円の内訳)


webなどの広告に記載されている「月額」はおおむね家賃・管理費・食材費の3つ、いわゆる居住費だけです。管理費とは、一般的な共益費とほぼ同じ。


また、「食費」と「食材費」に表記が分かれる場合があります。後者は厨房維持費が管理費に組込まれ、純粋に食材の費用のみ。このように景品表示法に則り、厳密に記載されています。


入居金がある場合と、入居金0円を謳うホームもあります。

(:5年償却の入居金)


そもそも入居金とは、前払い家賃のことです。ランニングコストを低くしたいときなどに助かります。ただし、有料老人ホームは行政許認可事業で価格が決まっているので、設定の有無はホームごとに異なります。


なお、償却期間が過ぎても、もう一度入居金を支払う必要はありません。最初の1回だけです。また、償却期間中に退去した場合は、残りの分が返還されます。


余談ですが、許認可を受ける際に事業者は「設置届」を提出します。そこに記載された以外での価格では取引きができまんので、値引き交渉は不可。それを引き受けるホームは「法律違反」を犯しています。


介護と医療はそれぞれ別に契約する

ホームは入居者を中心として、住まい・介護・医療を総合的に提供するパッケージングサービスです。


原則としては外部利用も可能ですが、情報連携を考慮に入れると、すべて切り替わると思っておいた方がよいでしょう。

(:老人ホームの契約形態)


介護や医療の費用は個人によって「変動」し、契約形態も異なるので、月額利用料に組み込まれていないという訳です。

(:介護・医療、雑貨を含めた月額費用)


介護保険は健康保険と同じく、利用時に自己負担を支払います。割合は収入によって異なります。また、保険者である市区町村によっても若干の差があります。


目安は月額プラス5万円

さらに、おむつ・パッド代やレクリエーション・アクティビティ費用などを含めると「月額」におおよそ5万円の予算がかかります。

(:月額18万円の月々にかかる費用の目安)


介護保険は利用時に自己負担がありますが、その割合は13割。仮に要介護5であれば1割負担は約2.6万円ですが、2割になれば5.2万円になります。将来的に変動要素が多い部分なだけに、予算の組み立てでは考慮に入れておいてください。


高額と廉価では何が違うのか

高額帯と廉価帯では、まず居住費が異なります。地価とハードウェアの質、食事の質などに比例するので、想像しやすいかと思います。

(:高額帯と廉価帯の違い)


また、介護付き有料老人ホームの法定最低限人員配置は、入居者3人に対して直接処遇員1人。これを手厚くしたホームもありますが、やはり費用はかかります。


医療依存度が高い場合や追加のリハビリを望むのであれば、その状態に応じたホームを選んでください。

(:老人ホームのスペック)


本人の状態からみて24時間看護師常勤が不必要ならば、オーバースペックとなり無駄な支出になります。逆にハイエンドな生活を送り資金もあるならば、庶民的なホームよりもホテルライクでコンシェルジュがいるようなホームが馴染むでしょう。


入居する本人を中心に考える

特養と比較すれば民間の老人ホームはどれも高い。特養はセーフティネットの役割ですので、当然です。


ハコモノ行政との国民の批判から、その役割の比重を民間に移行しています。

金融担当大臣が「老後は2000万」との騒動がありました。報道は発言を批判する展開をしていましたが、問題の本質から国民の目を逸らしています。自宅で限界を迎えれば、介護施設に頼るほかはありません。


家族が共倒れになることを、本人も望んではいない。それでも本人を中心に「家族全員」が幸せになる選択をしてください。


≪ シリーズ② ≫


『介護評論』

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